人が溢れてる!
重い足取りで病院にたどり着くと、見たことのない光景が広がっていました。ビルの中のフロアの一部が病院なのですが、病院というよりただの事務フロアという感じです。待合室といってもフロアと廊下との間に仕切りがあるわけではありません。フロア内の長椅子と安い中華料理店で使われているような丸椅子には人がびっしり、そして驚くことに廊下にまでその丸椅子に座った人たちが溢れています。これって野戦病院?と思うくらいの煩雑さです。その診察を待つ患者さんたちの間を縫うように看護婦さんたちが歩き回っています。恐る恐る、初診の問診票と健康保険証を出し廊下の丸椅子に座りました。しばらくすると看護婦さんの一人がやってきて
「今日は院長の診察日で、黄斑前膜だったら別の先生なんです。今日長い時間待って院長に診てもらっても別の先生の時にまた来てくださいと言われるだけなので出直したらどうでしょう?」
「そうですか。ではそうします。」
その先生の診療の日を聞いて出直すことにしました。帰り道はとても足取りが軽く、楽しいくらいの気分でした。なぜなら、手術から遠のいた(逃げられた)からです。見づらいのを治したいという気持ちはありますが、やはり手術のリスクを怖がっていたんです。