カタチは良くなってます。
手術後6回目の診察です。
視力、眼底、眼圧、等一連の検査
瞳孔を拡げる点眼薬の後に診察。視力は0.5弱
この頃になると、
症状も回復しないし、
良い症例にならないと判断したのか、先生はずいぶん飽きてきてる感じです。
「大丈夫。カタチは良くなってきてますね」
(カタチが良くなっても、見えなければ意味ないじゃん!)
やっぱり、この人は整形外科的感覚なんだなと思った。
だって見え方については一切訊かないもん。
「でも視力は回復しないんですけど」
「早い人は回復するんですけどね。じゃ、次は2週間後で」
(たまには、質問に答えてよ!)
「えっ、2週間後?」
「ええ、1カ月経ったんで」
ショック!!
病院のHPで語られている夢のような体験談とは、まったく異なる症状が出ているので今日は少し聞いてみようと診察に臨んだ。定型の検査を終え診察室に入る。
いつものようにルーペのようなもので覗いた後に
「特に問題ないですね」
恐る恐る聞いてみた。
「あのー、モノが大きく見えるんですけど。手術してない方に比べて130%~150%位大きく。それと色の感じ方が弱いんです。特に黄色がすごく薄くて」
「・・・・・」面倒くさそうに無言で、何かを書き込んでいる。
さらに今日の視力検査が矯正視力で0.5しか出なかったため続けた。
「視力はいつごろ回復するんでしょうか?」
「3週間で回復する人もいます。回復しない人もいます。」
「えっ!」
先生は本当に面倒くさそうに、もう次の人のカルテを僕のカルテの上において見始めてる。目も合わせない。(ひどい!)
「じゃあ、回復しなかったら視力が下がったままなんですか?」
「・・・・・」
「慣れるしかないってことですか?」
「そうですね」無感情で言い放った。
ショック!!!
手術前は、あんなに丁寧に応えてくれたのに、手術が終わったら相手にもしてくれない。もしかして、やっぱりあの手術は失敗だったの?
気持ち的には詐欺にあったような気分になっていた。
手術後の経過
手術の翌日と翌々日、一日あけて4日後に診察。そのたびに先生の一言が発せられる。
「問題ないですね」
「・・・・」(それだけ?)
そして
「では、来週にまた」
「・・・・」(終わり?)
その次の診察も版を押したように同じ。
そして4回の経過観察が終わった。
この頃は、手術をしたばかりなので急に見えるようになるとは思っていなかったが、異常なことは感じていた。
・視力低下。手術前は眼鏡をかけると1.0見えていたのが0.5しか見えない。
・大視症(ものが大きく見える)を発症した。
・飛蚊症発症。ひどい時は3個飛んでいる。
・色が全然違って見える。
・明るいところに出ると異常にまぶしい(サングラスをかけていても)
・手術したほうの目の周りがひきつる感じがする。
次に診察に行ったときには、3週間経っているので色々質問してみよう。
白目が真っ赤!
手術後、看護婦さんからゴーグル(目を守るためにかけて寝る)と痛み止め(痛かったら飲む)を受け取り、精算をして病院を出た。眼帯は今日は外さないようにとのこと。
病院の裏の食堂で昼食を取り、ホテルに向かう。ホテルでジャージに着替え、テレビで古い映画を観る。手術の悲壮感と、古い映画を観ているわびしさが相まって物悲しい気分になった。夜は近くのコンビニでお弁当とノンアルビールを買って静かにしていた。
全く痛みはなかったので、痛み止めは飲む必要がなかった。なかなか寝付けなかった。
翌朝、病院に向かい診察を受ける。
眼帯を外すと、なんと白目が真っ赤!
(うわっ!気持ちわる~ 大丈夫なのこれ??)
さすがに、他人がこれを見たらビックリするだろうなと思う。
(サングラスにしておいてよかった。)
先生がいなくなった。
「動かないでください」って言われたって、唾液を飲んだだけだよ。とは言え、余計緊張してきたらどんどん唾液がたまっていく。ちょっとして、今度は静かに飲み込んだ。
「動かないでください。動くと危ないですからね!」ちょっと半ギレしてる。
(えっ!そんなに!?)
じゃあ、どうすりゃいいの? 「リラックスして」とか「唾液を飲むときは合図して」とか言ってくれればいいけど、何も言ってくれない。しかも驚いたことに看護婦さんも一言も発しない。先生と会話もしない。喋っているのは英語で喋る外国製らしき機械だけ。異様な空間。
もう、こうなったらと体全体を微動だにしないくらいカチカチに硬直させた。唾液も溜めたままにした。
手術自体は、延々と眼の中に水?が流され、いろんな色の光が眼の中で流れている。
しばらくして、眼に何かが刺さる感じがした。(あっ、痛!)それが何回か繰り返された。痛くて我慢できないということはないけれど、先生に状況を報告したほうがいいかなと思い
「先生、痛いです」というと
「もうすぐ終わりますから」
いや、そういうことを聞きたいんじゃなくて、「大丈夫ですよ」とか「少し我慢してください」的な言葉が欲しかった。
そのチクチク作業が少し続いたあと、先生はいなくなった。何かを取りに行ったのかなと思っていたら、看護婦さんが防水シートを外し始めた。
(えっ!えっ!終わったの!?)「無事、終わりました」とか言われるのを期待していたのに、先生は一言もなくその場を離れた。
その時、ふと思った。
ーーー失敗した?
「そちらで靴に履き替えて、待合室でお待ちください」
看護婦さんが喋った!
手術椅子から降りて、ふらふらしながらスリッパから靴に履き替え患者さんで溢れ返っている待合室を抜け、廊下の丸いパイプ椅子にたどり着いた。もしかしたら、待っているときに先生が来て状況を教えてくれるかもしれないと、かすかに期待したが意味がなかった。
ーーー上手くいかなかったから、もう関わりたくないのかな?
そんなことが頭をよぎった。
動かないでください!
先生も看護婦も無言のまま、眼にカチカチと何か仕掛けている。後で気が付いたが、眼を閉じないようにする仕掛けだったんだろう。そうなら、そうと言ってほしかった。手術中、眼を閉じないように必死で頑張ってたんだから。手術椅子の右側に外国製らしい機械がある。時々、女性の声の英語でその機械が喋っている。そして顔の上に、アームの先に機械のついたものがかざされた。いよいよ始まるんだ。でも、みんな無言!「始めます」とか言うのかと想像していいたが、そのまま始まった。音がして、眼の中に水のようなものが継続的に流されている。断続的に光が見えるだけで、痛くもなんともない。ただ眼を閉じないように必死で頑張っていると、当然体に力が入るので息苦しくなってくる。顔から上半身にかけられた防水シートも眼の部分が開いているだけなので、段々息苦しくなってくる。
始まってから30分位経ったんだろうか、ついに口に唾液がたまってきて少し飲み込んだ。
「動かないでください!」
手術が始まってから初めて喋った~。
オペスタート
これからどうなるのか全く分からない状態で、部屋が暗くなった。顔から上半身までを覆う防水シートのようなものをかけられた。美容室で使われているような柔らかい素材ではなく、ごわごわした感じのビニールっぽいもの。どうやら、眼の部分だけが空いているようだ。しかし、手術室に入ってから、みんなずうっと無言。(誰か何か喋って~)