「黄斑前膜」手術日記

黄斑前膜を発症して手術、その後の経過を過去に遡って書いていきます。同じ病気でお悩みの方のご参考になればと思います。

先生がいなくなった。

「動かないでください」って言われたって、唾液を飲んだだけだよ。とは言え、余計緊張してきたらどんどん唾液がたまっていく。ちょっとして、今度は静かに飲み込んだ。

「動かないでください。動くと危ないですからね!」ちょっと半ギレしてる。

(えっ!そんなに!?)

じゃあ、どうすりゃいいの? 「リラックスして」とか「唾液を飲むときは合図して」とか言ってくれればいいけど、何も言ってくれない。しかも驚いたことに看護婦さんも一言も発しない。先生と会話もしない。喋っているのは英語で喋る外国製らしき機械だけ。異様な空間。

もう、こうなったらと体全体を微動だにしないくらいカチカチに硬直させた。唾液も溜めたままにした。

手術自体は、延々と眼の中に水?が流され、いろんな色の光が眼の中で流れている。

しばらくして、眼に何かが刺さる感じがした。(あっ、痛!)それが何回か繰り返された。痛くて我慢できないということはないけれど、先生に状況を報告したほうがいいかなと思い

「先生、痛いです」というと

「もうすぐ終わりますから」

いや、そういうことを聞きたいんじゃなくて、「大丈夫ですよ」とか「少し我慢してください」的な言葉が欲しかった。

そのチクチク作業が少し続いたあと、先生はいなくなった。何かを取りに行ったのかなと思っていたら、看護婦さんが防水シートを外し始めた。

(えっ!えっ!終わったの!?)「無事、終わりました」とか言われるのを期待していたのに、先生は一言もなくその場を離れた。

その時、ふと思った。

ーーー失敗した?

 

「そちらで靴に履き替えて、待合室でお待ちください」

看護婦さんが喋った!

手術椅子から降りて、ふらふらしながらスリッパから靴に履き替え患者さんで溢れ返っている待合室を抜け、廊下の丸いパイプ椅子にたどり着いた。もしかしたら、待っているときに先生が来て状況を教えてくれるかもしれないと、かすかに期待したが意味がなかった。

ーーー上手くいかなかったから、もう関わりたくないのかな?

そんなことが頭をよぎった。